日本ホスピス・在宅ケア研究会全国大会 参加報告

  • 2019.02.11 Monday
  • 19:00

第25回 日本ホスピス・在宅ケア研究会全国大会 参加報告平成31年2月2日(土)・3日(日)

岡卓矢

 

初日は、「シンポジウム6 ごちゃまぜの中にまざる〜地域で活動する訪問看護師が期待される役割とは〜」に途中から参加しました(悪天候、事故の都合)。登壇者は、秋山正子先生、山田康介先生、高橋都子先生、川口篤也先生、西上ありさ先生です。

参加した時点で、コミュニティーデザイナーとして活躍されるstudio Lの西上先生がお話しされていました。最も心に響いたのは、「専門職だけがかかわると、どうしても『正しいこと』のみを進めようとしてしまうが、可能性を広げていくには『楽しいこと』とも両立する必要がある」ということでした。また、人の興味を引くキャッチコピーの大切さ、それを知るためには、相手がどの部分に興味を抱いているかを知る必要があるということも説かれていました。

秋山先生は連携、人とのつながりという点で、相手に対して興味を抱くこと、専門職がもっと助けを求めていくことが必要であると話されており、両者のお話はつながっていると感じました。

その後の質問コーナーでは、「最近ブームである『ごちゃまぜ』についてどう思うか?」という質問が印象的で、川口先生は「声高に叫ぶということは、できていないということ」と回答されていました。

私はこの質問を、今までの自身の活動を振り返りながら聞いておりました。ケアカフェ、医療介護連携事業、多職種連携…等、言葉や活動が一気に広がるものの、時間が経つにつれて、参加者の顔ぶれが同じようになったり減少したり、という結果を目の当たりにしたときに、「当初の目的が達成されたのではないか」「研修や組織の在り方を変えるべきか」「継続することに意義がある」「参加者のニーズはどこにあるのか」等と、常に葛藤をしておりました。その答えが、今回登壇された先生たちの言葉ではないか、と思います。

 

2日目は、「『まちづくり』から『まるごとケアの家』へ〜思い・活動・志をつなぐために〜」に参加しました。

最初に、厚生労働省の武田さんが挨拶をされ、その中で医療・福祉の今後の方向性についてお話しされていました。そのときに「国が考えていたことを、その前から村上先生が主張し、実践されていた」と言われていたことが印象的でした。

次に、浩明さんが挨拶をされました。父として、医師として、職場の上司としての村上先生に対する想い等を語ってくださり、その後、DVD『村上智彦からの遺言』を鑑賞しました。職場の先輩であり同居人である浩明さんの普段とは違う姿や、DVDの中で村上先生がお話をされる姿を拝見し、感動しました。

その後、永森先生の恩師である、佐久総合病院の北澤先生がお話しされました。北澤先生は、恩師である若月俊一先生の想いや軌跡についてお話しされました。その中で心に残った言葉としては、「医療は民衆のものであり、民衆がつくるもの」「はじめは、『農民のために』という思いで行っていたが、『農民と共に』行うことが大切であると気づいた」ということでした。時代が違えど、若月先生と村上先生は、同じ思い、行動をされていたこと、本当に先を見通した活動をされていたことに衝撃を受けました。

北澤先生の後は、永森先生がお話しされました。「ささえる」の理念、さまざまな実践を通して変わっていったこと、今の考えとして「まちは住民次第である」「メディコポリス志向から、目の前のことへと意識が変わっていった」「半径5mのハッピーを大切にする」「次世代を育てることが大切、環境をと整えて任せて、あとは本人次第」ということをお話しされました。そして、その実践としての「まるごとケアの家」についてお話しされました。「まるごとケアの家」の特徴として「余白を使う」という言葉が、私にとって非常に納得しやすいものでした。また、「まるごとケアの家」というのは、「理念・思想であって、運営形態は問わないから、その名は自由に使ってください」ということも言われており、登録商標でもある「ホスピス」との違いを理解することができました。

永森先生の後は、実際に「まるごとケアの家」を運営されている、岩手県の高橋さん、福岡県の池本さんが、自身の実践されていることをお話ししてくださいました。高橋さんは様々な業種を経験された後に介護職をはじめ、自身でNPOを立ち上げ、今ではたくさんの事業所を運営されております。「人間の死因は生まれたことである」「日本人の世界観は、元来、人間は自然(じねん)に内包されるというものだった」「古代ローマの墓碑銘『次はお前だ』」という言葉を引用しながら、自身の思いをお話しされていました。また、運営状況を見ながら事業所の閉鎖・開設などされているとのことで、大胆さや柔軟さが印象的でした。

池本さんは、クリニックが運営する、在宅ホスピスの施設を管理されています。話し合うことの大切さ、その結果として実現された出来事、行事等について写真を見せながらお話ししてくださいました。

講演後は、各グループでの話し合いに移りました。私のいたグループでは、「挑戦」というテーマで自由に話し合いました。その中で心に残った言葉としては、「小さなことから始めることが大切」「皆で話し合ったことを実現していくためには、環境が大切」「挑戦をすると必ず壁が出てくるが、そのタイミングでちょうどとび越えられる壁である」ということでした。

 

全国から名だたる方たちが集まり、いろいろなお話を聞き、そのエネルギーに圧倒された2日間でした。自分には到底できないことばかりのように感じましたが、最後に司会の方が言われていた通り、まずは目の前のことから地道に積み重ねていこうと思います。

この2日間を振り返った時に、いくつかの共通する言葉があったように感じ、私はそれらを「主体的に動く」「相手に興味を持つ」「話し合う」「環境づくりが大切」であると認識しました。

入社後1か月が経ちましたが、「ささえる」の中には、たくさんの「チャンス」「余白」が存在していると感じております。それらを有効に活用できるよう精進したいと思いました。

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